ドイツビール事始め

Göttinger Brauhaus誠に残念ながら、我らがGöttingen(ゲッティンゲン)の街にはBrauerei(ブラウエライ:ビール醸造所)がありません。以前はあったようですが、1988年に買収されてしまったため、今では『Göttinger』(ゲッティンゲンの)という名のビールが造られているのは別の街。
かつてGöttinger Brauhaus(ゲッティンゲンビール醸造所)があった場所には、醸造所の一部だったと思われる小さな建物だけが残っています。建物の入り口上に醸造所のロゴがひっそりと記されていました。
その建物が面している道は、今でも『Brauweg』(醸造通り)という名のままです。

ゲッティンゲンに醸造所(=出来立てのビールが飲める場所)がないとは、ビール好きの私にとって何とも寂しい話ですが、仕方がないので普段は家飲み(=瓶ビール)中心。Göttinger Brauhaus
ドイツではビールが安いので大変助かっていますが、我が家では安いビールをさらに安くケース買いして、自転車の荷台に積んで自己宅配しています(苦笑)。普段用として、だいたい1本500ml×20本入りで1ケース10ユーロ前後(約1400円) のものを買っていますが、美味しく飲めるビールです。

そんな日々を送る私が「ビールが好きだ」とゲッティンゲンで話すと、同意してくれる人とちょっと戸惑う人がいるように感じます。お酒は飲まない、とかワインを飲む、という人が意外と多い。
海外からの留学生も多く住む街ですから、宗教的にそもそもお酒が飲めないとか、ビールなんか飲んでいる間に勉強しなきゃ(ホントか?)などという学生がいるということはあるでしょう。
またもしかしたら、大学や研究所関係者が多いゲッティンゲンだからこそ、ビールではなくワイン=いわゆる高級感のある飲み物を飲む、という人もいるのかもしれません。
確かに、ジョッキを片手に飲む姿はエレガントではないですからね。そういえばゲッティンゲンにある大手ビール会社の直営店でも、驚くことにワインを飲んでいる人をよく見掛けます。

でも、戸惑ってしまった皆さんにこそ知ってもらいたかったのは、私が酒好きだということではなく、素晴らしきドイツビールの世界についてです。

Brauerei

昔のドイツでは、村々にビール醸造所があったようです。きっとそこは、村の集会所のような役割も果たしていたことでしょう。村の最も強い発言権を持っていたのは教会とビール醸造所だった、と いう話も聞いたことがあります。
昔ながらの醸造所には、今でも大抵レストランが併設されています。その他ホテルも経営していたり、町の子ども達が演劇会を開いたりする小劇場まで備わっている醸造所もあります。
そんな場所へ行くと、様々な世代の人が仲間や家族と集まって、ビールを飲みながらお喋りに興じていたり、醸造所の方がお客さんと話し込むのを見掛けます。

Brauerei
私がドイツビールの世界を特に素敵だと感じるのは、そのような光景を目の当たりにしたとき。ドイツビールとその周辺には、日常生活に密着しながら長い年月によって培われた文化があるのだな、と実感するからです。

Brauereiまたドイツビールを飲む度に、その歴史や豊かさにも感心します。
よく知られていることですが、ドイツには『Reinheitsgebot(ラインハイツゲボート:ビール純粋令)』という法律があります。1516年に定められたもので、ドイツのビールは全てこの純粋令に則って、ホップ、麦芽、酵母、水の4つの原材料のみから造られています。
そのため、基本的にはどのビールも同じ材料なんですが、どれも違う味わいというのがとても不思議です。

あるサイトによると、ドイツには現在1000以上の醸造所があるそうです(リンクページの赤い印は全て醸造所)。
でも近年、歴史ある醸造所が造るのを止めてしまったり買収されてなくなることが増えているのだそう。
この残念な事態を食い止めるためにも、まずはできることから、ドイツ中をせっせと飲み歩かなければなりません!

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