Göttingen（ゲッティンゲン）にわずかばかりあるビアバーの中で、私が最も足を運ぶのはドイツの大手ビール会社・Paulaner（パウラーナー）の直営店です。パウラーナーは München（ミュンヘン）を本拠地とする1634年創業のビール醸造所で、ここで造られるビールは日本でも飲むことができます。

直営店で飲むビールは普通に美味しいのですが、正直なところゲッティンゲンにビール醸造所（＝新鮮なビールが飲める店）が一軒もないから仕方なくこの店へ来る、という気持ちもありました。
ところが先日、そんな私の目から鱗が落ちました。

ミュンヘンへ行く用事ができたため、事前に現地の友人から情報を入手。パウラーナーの工場脇にあるビアガーデン・Paulaner am Nockherberg（上写真が入口の様子）で飲むビールが美味しいと聞き、訪れてみることにしました。

ビアガーデンで料理が提供される時間帯を外してしまったので、同じ敷地内にあるレストランへ。
店内の中央にはカウンターが設置され、ゲッティンゲンの直営店よりもずっと洗練されたインテリアです。
席に着いて早速注文しようとすると、私が日本人だとわかったせいなのか、気の良さそうな年配のウエイターの方に「そんなに慌てちゃいけないよ。人生のんびりいかなきゃ。」と笑顔で諭されました。

日本ではドイツビールというとWeißbier（ヴァイスビア：小麦のビール）が一般的ですが、ドイツへ来てわかったのはHell（ヘル：明るい色の上面発酵ビール）のほうがより一般的で、飲んでいても飽きが来ない、ということ。
ゲッティンゲンのパウラーナーでもすっかりヘルを飲むことが多くなりましたが、こちらでもヘル（下写真・右側。0.5ℓ：4.3ユーロ）を注文しました。

すると、まずグラスが違います。通常ヘルはジョッキに注がれるのですが、ここではシンプルな形のグラスが使われています。工場脇だけあって、味もフレッシュで美味しい。
ヴァイスビア（右写真・左側。0.5ℓ：4.45ユーロ）もフレッシュなせいかスッキリとしていて、いつもより美味しく感じました。料理も美味しく、盛りつけもきれい。ゲッティンゲンにある直営店とはまるで違う。。

外へ出ると、いつの間にか人でいっぱいでした。こんな場所で造りたての美味しいビールを飲んだら、最高の気分でしょう！

その夜、友人が別のパウラーナーのお店 Paulaner Bräuhaus（動画はこちら）へ連れて行ってくれました。なんとここでもビールを醸造しているのだそう。

ビールを注文すると、通常パウラーナーで飲むビールとは色が全然違います。グラスも特別で、店名が記されています。
写真左端は Bräuhaus Zwickel（ブロイハウス・ツヴィッケル。0.5ℓ：4.1ユーロ）。ツヴィッケルとはケラービール（無濾過なので若干濁っており、ビー ル酵母などの栄養が多く含まれる）のことで、もっと黄色いのが普通です。
写真中央と右端は Bräuhaus Weiß（ブロイハウス・ヴァイス。中央は0.5ℓ：4.1ユーロ）。小麦のビールですが、これも通常の黄色いヴァイスビアとは全く違って茶色！
どちらもコクと苦みがあって美味しいビールでしたが、なぜ通常のパウラーナーのビールとは違うのかが気になります。

後日サイトを見てみると、以前ここは Thomasbräu（トーマス醸造所）のビアレストランで、裏手にはその醸造所があったのだそうです。1928年にパウラーナーに合併されたものの名称はトーマスブロイのままでしたが、1994年からは名称もパウラーナーに変更し、現在に至るということです。
……ということは、もしかしたらビールのレシピは元の醸造所のものかもしれません。だとしたら、他のパウラーナーのビールとは違うのにも納得がいきますね。

これまでパウラーナーを大手ビールだと思って、ちょっと見くびっていた自分を反省。ホームグラウンドで実力を見せつけられた気がしました。
さすがパウラーナー、いろいろ持ってます！