我が街・Göttingen

GöttingenGöttingen(ゲッティンゲン)は、ドイツの四大大学街のひとつです。四大大学街とはゲッティンゲン、Heidelberg(ハイデルベルク)、Tübingen(チュービンゲン)、Marburg(マールブルク)ですが、ゲッティンゲンにある大学は、Georg – August – Universität Göttingen(ゲオルグ・アウグスト・ウニヴァジテート ゲッティンゲン:通称ゲッティンゲン大学)です。

地元の方が自嘲気味に『Ein kleines Dorf(小さな村)』と言うほどこぢんまりとした街ですが、学生で溢れているためか活気があります。ちなみにゲッティンゲン市の去年のデータによると、21〜30歳の人口は市民全体の約22%を占めます。
留学生や海外からの研究者も多く住むので国際的な雰囲気もあり、ベルリンなどと同じといってもよい位外国人も馴染みやすいように感じます。

Göttingen
私はここに二年半ほど住みましたが、ゲッティンゲンはとても暮らしやすい街でした。物価が安くて治安も悪くなく、緑豊かで基本的にとても静か。東西南北への鉄道が通るのでどこへ行くにも比較的出やすくもあります。今では、他の街から帰って来ると「やっぱりゲッティンゲンがいいなあ」としみじみ思うようになりました。

Gänselieselそんなゲッティンゲンの名物になっている行事があります。
ゲッティンゲンの唯一の観光名所といってもよいのが旧市庁舎前に建っている『Gänseliesel(ゲンゼリーゼル:ガチョウ番の娘)』の像ですが、ゲッティンゲン大学で博士号を取得した学生は、このゲンゼリーゼルにキスをする習わしになっています。
この『ゲンゼリーゼル参り』、団体で行う学部があったり人によってはやらなかったりとまちまちですが、私が目撃した個人で参る場合の一日をご紹介します。

Promotion当日、まずは博士号取得の最後の登竜門・口頭試問が教室で行われます。博士課程で書いた論文について、三人の教授達+司会者(全員研究者)を前に発表するのですが、公開制なので誰でも傍聴できます。
発表は約30分程で、その後教授達や傍聴者からの質問があります。これが大体一時間程。
「それではこれから、この発表が博士号取得に値するか我々だけで討議しますので、皆さん部屋から出てください。」という司会者の言葉で、教授達を除く全員が廊下へ出されます。発表者はまな板の上の鯉状態に……

Promotion15分程経った頃でしょうか、教室のドアが開きました。
「彼は博士号を取得するに値しますので、授与します。」
ようやく安堵の雰囲気が漂いました。

私は森林学部の口頭試問に立ち会いましたが、この学部のみの特徴があります。それは、博士号の授与が決まった直後にラッパの演奏があることです。
森で狩りをする際に、昔はラッパの音で「鹿が獲れたぞ〜」「狩り終了〜」などの合図をしたそうですが、その音楽を奏でてくれるのです。この日の音楽が何の合図だったのかはわかりませんでしたが。
Promotionそのまま廊下でささやかな立食パーティー。ひととおり歓談した後で、やっとゲンゼリーゼル参りの時間です。

教室からゲンゼリーゼルへ向かう際、学生は必ず仲間達によって飾り付けられたリヤカーのようなものに乗せられて練り歩きます。ゲッティンゲンの住人は、これが何を意味するのかわかっているので、「おめでとう!」などと声を掛けてくれたりもします。

Promotionゲンゼリーゼル像前に到着したら、まずはリヤカーに乗せられたまま像の周りを三周します。
その後ゲンゼリーゼルの像の側まで登り、まず花束を捧げます。そして頬にキス。仲間達の喝采に包まれながらスパークリングワインやビールで乾杯をし、お参り終了。

また一人、ゲッティンゲンに博士が誕生しました。
この長かった一日が終わると、私のゲッティンゲン滞在もそろそろおしまいになります。

我が街・Göttingen」への2件のフィードバック

  1. Acco

    Göttingenの街のあたたかさ、お祝いムードが伝わってきて、
    ジーンときちゃいました。
    Gratulation!(^0^)!

    返信
    1. masblo 投稿作成者

      Accoさん、ありがとうございます!
      ドイツ滞在も最初はどうなることかと思いましたが、現地の方や様々な国出身の方と友達になることができ、振り返れば楽しく充実した時間を過ごすことができました。
      そんなことを可能にするゲッティンゲンは、一歩中に入る気持ちさえあれば、正に温かい街だと思います。

      返信

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