私事で大変恐縮ですが、小学生の頃から剣道教室に通っていました。 その後、学生時代を通して剣道部に所属していたものの、社会人になってからは数えるほどしか稽古をしていない状態、、
剣道って「ちょっと遊びで」ってノリでは絶対にできないスポーツ。いえ、スポーツではなく『武道』。だから心身共に充実していないとできないんですよねえ…と、言い訳。

そんな私がマルメにきて間もない頃、なんとなく検索してしまったのが『Malmö・Kendo』でした。スウェーデンの皆さんと関われる何かが欲しかったんですね。

結果、ヒットしたのが『Enighet Kendo』。奇しくも我が家から徒歩圏内にありました。
何か縁を感じてしまい、思わず「見学へ行ってもいいですか？」とメールを出してしまった（！）のが10月のおしまい。

訪れてみると剣道クラブの雰囲気はよいし、日本人も１人いらっしゃる（マルメに来て初めてここで日本の方とお会いしました）ことが判明。
挙げ句、「…仕方ない、やるか！」（笑）
錆び付いた体にむち打って、週に２回ほど通うことになりました。

剣道クラブのある『Enighet Sportcenter』には、剣道の他に柔道、空手、合気道、居合道などのクラブもあり、袴姿で刀を振るおじさまや道着を着たチビッコもたくさんいます。もちろん皆さん日本人ではなく、現地の方々です。

ロビーには大きな鳥居、その向こうにはなぜか裸像。
写真には写っていませんが、裸像の奥のガラスケースには、甲冑も二領飾ってあります。

受付前の池には錦鯉も泳いでいます。なぜか犬もいます。

施設内にあるいくつかの道場には、合気道の創始者・植芝盛平や柔道の父と呼ばれる嘉納治五郎の写真も掲げられています。

私がこちらの道場へ通うようになってようやくひと月が経とうとしているところですが、ロビーの鳥居よりも錦鯉よりも一番日本を感じるのは、剣道クラブの皆さんの心持ち、のようなものですね。
稽古は基礎を大切にし、面を付ける前に１時間くらい素振りや打ち込みなどをします。
もちろん道場に出入りするときには掲げてある国旗に向かって礼をし（日本では『神前』に礼をします）、稽古の始まりと終わりには黙想をします。
段位保持者も何人もいて（たしか最高で六段）、ある方には「相手が何段であっても動じるな。余計なことを考えずにまっすぐ構えていると、相手の隙が見えてくる」などと教えていただきました。もう日本人でしょう？ このコメントは。

念のためですが『面』『小手』『胴』『突き』を打つときは、そのまま日本語で言います。その他かけ声は『イチ、ニ、サン、シ…』、稽古の最中も『ゼンシンコウタイメン（前進後退面）』『イッポミギ（一歩右）！』などなど、日本語のオンパレード。
全員面を付けると、まるでちょっとスタイルのよい日本人達と稽古しているかのようです……

日本にも行ったことがあるというメンバーの一人によると、「スウェーデンでも日本と同じように剣道をやるけれど、ひとつ違うのは段位が上でも下でも関係なくフランクに接すること」だそう。

マルメではここだけにしか道場はないようですが、スウェーデン全体ではいくつかあるらしく、特に首都であるストックホルムには３つか４つの道場があるのだそうです。
「スウェーデンでは宗教観がだんだん変わってきて、精神性の重んじ方も様々になってきた。その中で日本の武道に興味を持つ人も多くなったんじゃないかな」とは、こちらも日本へ行ったことがあるという別のメンバーの話。

ただマルメの剣道人口は以前より減っているのだそう。
日本の皆さん、マルメへお越しの際はぜひ『Enighet Kendo』 の門を叩いてみてください。竹刀や防具の貸し出しもあるそうですよ！