Lucia(聖ルシア祭)という行事が北欧にある、ということを知ったのは、こちらに来る直前。ガイドブックに『クリスマスよりも盛り上がる、とってもきれいなイベント』などと紹介されていたのを読んで、ぜひ見てみたいと思っていました。毎年12月13日に行われるのだそう。
子ども服売り場で聖ルシアの衣装が売られているのを見て「どうも聖ルシアは女の子が扮するものらしい」ということはわかったのですが、地元の方から「ルシアの日には、白い服を着た子どもが頭にろうそくを立ててね…」なんていう話を聞いても思い浮かぶのは『怨』の一文字だけで、具体的にどんなものなのかよくわからないまま12月になってしまいました。
そんなあるとき、13日の朝7時からテレビで聖ルシアの放送がある、という情報を入手。
いよいよ当日、ちょっと早めに起きて番組が始まるのを待ち構えていました。
7時と同時にストックホルムにある教会が映し出され、白い服を着た子ども達が続々と入場。日本でもナポリ民謡としてお馴染みの『サンタルチア』を無伴奏で賛美歌風に合唱しながら、ひな壇に並んでいきます。実は聖ルシア祭でのサンタルチアは聖ルシアという女性のことを唱っていて、元歌とは歌詞が違うのだそうです。
子ども達の中に一人だけ、確かに頭にろうそくを立てている女の子がいます。彼女が聖ルシアに扮しているんですね。ちなみに毎年ルシア役を決めるために、スウェーデン各地でコンテストが行われるらしいですよ。
それにしても、サンタルチアの妙に明るい曲調と『白装束で頭にはろうそく』という日本人には明るく感じられない出で立ち、さらに教会の厳かな雰囲気が相まって、ゾッとするような気配を増長させるというか……正直なところ、私は朝っぱらから何か恐いものを見てしまったような気がしちゃいました、、スウェーデンの皆さん、ごめんなさい。文化や育ってきた環境の違いのせいですから(汗)
そもそも聖ルシアというのは、304年12月13日に殉教したとされる女性のことで、その名前はラテン語で光を意味する単語に由来するらしい。
他の北欧地域と同じようにマルメでもどんどん日が短くなってきていて、朝8時を過ぎてからやっと明るくなり始め午後3時過ぎには薄暗くなってしまう今日この頃ですが、そんな日照時間の短い時期にルシア=光の再生を願って行われるのが聖ルシア祭なのだそうです。
もちろん、それはよくわかるのですが、、
番組ではその後、聖ルシアにちなんだ合唱や朗読、楽器の演奏の様子がコマーシャルを挟まずに次々と放映されました。まもなく1時間になるところで再びサンタルチアを合唱しながら子ども達が教会から退場し、番組終了。
同じ日に、マルメ中央駅でも聖ルシアのコーラスが行われていました。といってもこちらは大人で、何かの募金を募るためのものだったようです。
私の聖ルシア体験は テレビと中央駅の2つだけでしたが、前情報ほどには盛り上がっていなかったような気がします……
でも元々各家庭で行われる行事のようなので、 もしかしたら子どものいるスウェーデン人家庭や学校などではもっと盛り上がっていたのかもしれません。
あるスウェーデン人から、もう少し詳しく話を聞くことができました。
昔、スウェーデンにカトリック信徒が多かった時代から聖ルシア祭はあったのだけれど、16世紀にドイツ軍に侵略された際にスウェーデン人はプロテスタントへ改宗させられてしまったのだそう。聖ルシア祭は元々カトリックのお祭りなので、プロテスタントに改宗した今も聖ルシア祭を祝うのは本当はおかしなことなんだけど、とのことでした。
「子ども達が腰に巻いている赤いリボンは、聖ルシアの流した血を表しているのよ。ほとんどのスウェーデン人は知らないけどね」とも。
うーん聖ルシア祭、やっぱり少しだけコワイ、というのが私の第一印象でした、、
*Luciaの様子はこちらで見ることができます。