スウェーデン車といえば日本ではVOLVOが有名だと思いますが、たまたまSAABファンと一緒に近くまで行ったため、SAAB博物館を訪ねてみました。
しかしSAABにしてもVOLVOにしても、乗用車部門はもうスウェーデンの会社ではないんですよね。それがちょっと寂しい気はしますよね、、
SAABに関していうと、1937年にスウェーデン政府がお金を出して軍用機を作る会社として設立され、自動車の開発が始まったのは1945年。Saab Automobileとしては1947年に設立し、それ以来様々な変遷を経て2007年まではSAABとして新型車を発表していたようですが、とうとう2011年12月に破産。
その後日中の企業連合に買収され、現在はSAABの開発部門などに所属していた一部の従業員だけがそのまま残って電気自動車の開発を行っているのだそう。
博物館の近くには『SAAB』の大きな文字の下に小さく『National Electric Vehicle Sweden』と記されている看板を掲げた現在の会社がありました(上写真)。
さてSAAB博物館があるのは、SAABの生まれ故郷であるTrollhättan(トロルヘッタン)。
館内には様々な時代のSAAB車がズラリと並んでいますが、自動車に関して全く詳しくない私の目から見ると、近代になればなるほど面白みのない形になっている気が、、昔の車種のほうが雰囲気があってよいですね。
建物の中に入って天井を見上げると、ここが以前は工場であったことがわかります。昔のSAAB車はここで造られていたんですね。
工場だった当時の作業風景を写した写真も展示されていました。
短パン・ランニング姿にサンダル履き。昔はかなりラフな格好で働いてもOKだったようです(笑)
展示の中でまず目に飛び込んでくるのは、SAABで最初に製造された自動車『Ursaab』。
航空機開発から生まれた形状なのか、流線型を描いています。それを示すためでしょうか、横を向いた状態でプロペラと共に展示されています。
横からのクールなシェイプと正面から見た顔にかなりのギャップがあってびっくり。私としては、顔のユニークさに魅かれました。
SAABの昔のエンブレムには、SAABが航空機の製造から始まったことを示す飛行機のモチーフが使われていたんですねー
…SAABファンにとっては常識の範囲内かもしれません。
変わったところで、1963年に製造されたキャンピングトレーラー『Saabo』が展示されていました。当時SAABにあったヘリコプター部門によって造られたものだそう。
室内には、その時代に流行ったらしきゲームも置いてありました。
まるっきりレトロでほのぼのした雰囲気です。
ボンネットの上になぜか『daihatsu』のエンブレムが付いている自動車も。でも受付の方の話によると、この自動車はダイハツと共同開発したわけでも何でもないみたいです。
1967年にこの『99』という車種を開発するためテスト車を20台くらい造り、 それらに便宜上つけた名前のひとつが『daihatsu』だったのだそう。おそらく、自動車にまつわる単語から適当に選んだんだと思いますが。
展示車の中には、ここトロルヘッタンで造られた自動車であることを示すステッカーが貼られているものもありました。SAABが生まれた地で造られた車だ、というのはそれだけ誇らしいことだったのでしょうね!
実はSaab Automobileが破産した2011年いっぱいでこの博物館も一度は閉館したらしいのですが、今も残っているSAAB(航空機部門を主とする会社)やSAAB車の部品だけを作っている会社、地元の有志などがお金を出し合って再度オープンしたようです。
SAABは今でも地元スウェーデンの皆さんに愛されている車なんですね。会社がなくなった今も往年の車がきれいに展示され、そこへスウェーデンの方々が訪れている様子を見て、しみじみそう感じました。