スウェーデン版・三河屋さんの正体

マルメへ来る前、私がビール好きであることを知っている友人が「スウェーデンはお酒が高いから、ドイツまで買い出しに行くべきだ」と言ってたっけ。。

実際にこちらのお酒の値段を見てみると、たしかにドイツよりは高い。でも、日本よりは安いんじゃないでしょうか。例えば、ワインなんかは69クローナ(約1030円)以下で買えるものがかなり揃っています。
……でも、問題はそんなことじゃなかったんだ、とこちらに来て気付きました。それを上回る存在がスウェーデンにはあったのですね、、

それは『Systembolaget』(システムボラーゲット)。
政府が経営する酒類販売店で、アルコール度数3.6%以上のものはここでしか買えません。スウェーデンの三河屋さんは全部政府がやってる、ってことですね。

Systembolaget

マルメにも数店舗ありますが、営業時間が限られています。月〜金曜日は18:00までやっていますが土曜日は15:00まで(営業時間は店舗によって多少異なります)、日曜日は休み。土曜日が祝日だったりすると、さあ大変。金曜日の夕方に駆け込みで買いにくる人の多いこと……

どうしてそんなことになったのか?
ウィキペディアによると、1766年にスウェーデンの王様がアルコールに関する全ての制限を撤廃してしまったために一般家庭でもお酒が作られるようになり、スウェーデン人男性の大半がアルコール中毒になってしまった(?!)ことが発端らしい。その後紆余曲折があって今の体制に落ち着いた、ということのようです。

Systembolaget『責任あるアルコール販売方法により、利益のためではなく、お酒から派生する問題を最小限に抑えるために、システムボラーゲットはあります』(システムボラーゲットのサイトより)なんていってますが、思わず眉にツバをつけたくもなります。
いくら過去にアルコール中毒が増えてしまったという失敗があったからといっても、娯楽の選択肢もたくさんある現代社会でそんなに簡単にアル中になるかな?とも思うのですが。

さらにこの三河屋では、お酒のディスカウントはだめ、必ずバラ売りしなければならない、なんていう独自のルールまで作ってる!
だから、スウェーデンの国中どこのSystembolagetで買っても同じものは同じ値段だし、「どーせ飲んじゃうんだから、ケースで買ったほうが安いよね」ってこともないんです。いわば独占企業なので、ルールを作るまでもなく当然価格競争なんてあり得ませんよね。

ただし品揃えはそこそこよいといってよいでしょう。
ビールの種類に関していうと、地元スウェーデンやデンマークだけでなく世界各国のものが売られています。なんとドイツはバンベルクのSchlenkerlaやアメリカのAnchorなども。日本の一番搾リやスーパードライも見かけました。

ちなみに酒好きが飲まないお酒=アルコール度数 3.5%以下のものは、スーパーでいつでも買えます。わざわざ3.5%以下に作ったPilsner Urquellピルスナー・ウルケル。有名なチェコのおいしいビール)なんてものも売られていますが、、飲むには及ばないでしょう。Pilsner Urquel

値段とうまさを考慮して慎重に検討した結果、我が家の定番は『ピルスナー・ウルケル 500ml』(もちろん通常のアルコール度数のほう。15.9クローナ=238円)に決定。

半年ほど前にベルリンで飲んだ生のウルケル・2.9ユーロ(約371円)が未だに恋しい私です。。

 

スウェーデン版・三河屋さんの正体」への2件のフィードバック

  1. こんばんは!ブログたのしく読ませていただいてます♪
    三河屋さんの話を友人にしたところ、「醸造所も国営なのか?」「レストランでの酒類の価格も統制されているのか?」というマニアックな質問をされました。
    醸造所は認可をうけた民営で、レストランは価格きまってるんじゃな~い?と、勝手な推測で適当に流しちゃったのですが、当たってますか?

    返信
    1. masblo 投稿作成者

      スさん、マニアックな質問をありがとうございます(私も他人のこと言えませんが。笑)。
      スウェーデン政府が経営しているのは、あくまでもお酒の小売店だけみたいです。
      スさんのおっしゃるとおり醸造所は民営で、大手ビール会社だけでなくマイクロブルワリーもあるようですよ。
      レストランでの価格については、少なくとも政府は関与していないので統制はされていないはず。でもそれじゃあ片手落ちじゃない?っていう話はナシでお願いします。スウェーデンにいる酒飲みをもっと苦しめることになるかもしれないから(笑)

      返信

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