スウェーデンの首都・Stockholm(ストックホルム)まで足をのばして、陶磁器メーカー・Gustavsberg(グスタフスベリ)の博物館へ行ってきました。
実は、日本にいた頃はこのメーカーのことをちっとも知らなかったのですが、マルメに来てからスウェーデン人に「今ではスウェーデン国内唯一の製陶会社になってしまった」と聞き、興味を持ったのです。
Gustavsbergは、ストックホルム中心部からバスで2〜30分ほど行った、社名と同じ『Gustavsberg』という町にあります。マークに『Made in Gustavsberg』と記されているのは、ここGustavsbergで作られているからなんですね。さらにここは港町なので碇のマークが付いているのでしょう(下から2番目の写真にある旗をご参照ください)。
工場と同じ敷地内にGustavsbergs Museumはありました。
間口があまり広くなかったので(写真左側のレンガの部分)すぐに見終わるかと思いきや、甘かった……
中へ入ってみると、よく知られるデザイン以前の昔風の器の展示から始まりました。お隣デンマークの製陶会社・ロイヤルコペンハーゲンそっくりのお皿もあったり、かなり装飾性豊かな器がほとんどでしたが、昔の製陶現場や絵付けの様子がフィルムで流されていたりして、興味深いものではありました。
でも、ここはまだ序の口。
次の展示室には、Gustavsbergのスターデザイナー・Stig Lindbergやその他代表的なデザイナー達による作品が整然と並んでいました。この部屋だけは、Gustavsbergというよりもまるで一般的な美術館のようです。
一番奥の部屋には、Stig LindbergやLisa Larssonなどの作品の他、ノーベル賞授賞式の晩餐会で使われた食器やお馴染みの比較的近年に発売されたGustavsbergの代表的なシリーズがズラリと展示されていました。
思わず欲しくなる柄の食器もありましたが、今では製造されていないものがほとんどのようで、実際に買うとなるとアンティークショップなどで探すしかないものも多いようです。
……と、ここまでも十分見応えがあったのですが、私が最も時間を費やしてしまったのはサニタリー部門の展示室。
Gustavsbergは水まわりの陶磁器も造っています。ちなみに写真左端に写っているのは、昔の木製便座です。
1825年の創業当時は食器などの陶磁器のみ製造、その後1937年に会社が売却され、その2年後の1939年にサニタリー部門ができたのだそうです。一方、家庭用陶磁器の製造部門は、1996年からは従業員らで運営する自治体という形で存続されることになったんだとか。
食器と同時に便座を展示するなんてちょっと尻込みしそうなのに、きちんと展示していたのがまずエライ。
さらに、その部屋で流れていた『下水道の歴史』ともいうべきフィルムがよくできていたんですね。汚物をそのまま川に捨てていた時代や、下水道の排水が海に流されて汚染に繋がっていた頃などが順を追って映し出されてとても興味深く、思わず見入ってしまいました。
博物館の近くには、GustavsbergのB級品が売られているお店もあります(右上写真がその入り口)。
でもここは、私としてはちょっと期待はずれ感がありました。B級品を安く買えると知っていて行ったのですが「これ売っちゃって信用に関わらない?」と思ってしまうような正真正銘のB級品が多かったことと、お店に並べられていたものの半分はGustavsbergとはほとんど関係ないものばかりだったので。
それにやっぱり値段が高すぎる。B級品なのに高すぎる。
お店のほうはともかく……今回は常設展のみのGustavsbergs Museumでしたが、次回は企画展に合わせてまた訪れてみたいと思いました。