Stockholm 見物記:Vasamuseet は、見るべし

Vasamuseet昨年12月に、スウェーデンの北端・Kiruna(キルナ)で偶然出会った日本人の方から「Stockholm(ストックホルム)へ行くなら見たほうがいい」と言われたのが Vasamuseet(ヴァーサ号博物館。写真の赤茶色の建物)でした。

ここは17世紀にストックホルムで造られた軍艦・Vasa号が展示されている博物館。事前に仕入れた情報としては、一度は海に浮かんだものの航海する間もなくすぐに海底に沈んでしまったトホホな船らしい、ということのみ。
船に特別思い入れがあるわけではない私は「きっと船一艘だけに頼った展示で、Vasamuseet内容は薄いんだろう」と勝手に決めつけ、時間があったら行ってみよう、くらいに思っていました。
案の定、せっかくストックホルムまで来たのに博物館を訪れないままマルメへ帰る日となってしまったので、空港行きの電車に乗る前のわずかな空き時間で、思い切って行ってみることにしました。

ところがヴァーサ号博物館は、予想に反して見所盛りだくさん!
建物の中へ入ると、いきなり黒々とした木造の船がドーンと置いてあり、まずその迫力に圧倒されます。長い年月海底に沈んでいたとは思えないほど保存状態がよく、驚かされます。でもこれは、お約束の範囲内でしょう(笑)

素晴らしかったのは、展示の仕方。言ってみれば、本来の役にはちっとも立たなかった船一艘から、切り口をいろいろと設けることで展示内容に厚み持たせていて、とてもおもしろい。
Vasamuseet

まず船のぐるりにある説明書きを読みながら船を眺めるだけでも、思わず「へ〜」と声を漏らしてしまいます。その説明書きには、ありがちな『変な日本語』ではなくきちんとした日本語の表記もあって、わかりやすい。

さらに1628年に船が沈没した時の様子や、その後1961年に再び船が海面に引き上げられるまでの過程のほか、船の中から発見された遺留品の数々やそれらからわかった船内の様子など、展示が多岐にわたっていて、うっかり見入っているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。

Vasamuseet

Vasamuseetところで、なぜ海に浮かべた途端に沈んでしまったのかというと、喫水が足りなかったかららしいです。
たしか、船底に2トンの石を積み込んだにもかかわらず、それでも喫水が足りなくてバランスを失って沈んでしまったと展示には記されていたと記憶しています。ヴァーサ号博物館のサイトによると、造船開始後に当時の国王が予定よりたくさんの大砲を搭載したいと言い出して(苦笑)設計がおかしくなってしまい、さらに出航直後に強風にあおわれたから、と書かれています。
そんな不遇の船でもこれだけ見応えのある展示ができたのだから、十分役割を果たせたというべきかもしれません。

結局予定していた時間では見終わらず、後ろ髪を引かれながら博物館を後にした私。ヴァーサ号博物館へ行ってみようという方には、予め長めに時間を取っておくことをお勧めします。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>