ドイツのイースター “Ostern” を知る

Narzisse今年のイースター(復活祭)は、3月27日でした。キリストの復活を祝うイースターは、キリスト教徒にとって大事な祝日です。ドイツ語では『Ostern(オースターン)』。
この時期になると、道端には水仙・Narzisse(ナルツィッセ。別名 Osterglocken(オースターグロッケン:復活祭の鐘))が咲き誇り、ウサギや卵型のチョコレートが大量に売られます。

去年のイースターもドイツにいたのですが、「同じ祝日なんだから、きっとスウェーデンのイースターとさして変わらないだろう」などと高を括って、それ以上深入りしませんでした。
Osterhaseしかし先日、ドイツ語の授業でこんな例文が出てきました。
『Wir malen die Ostereier, obwohl das die Aufgabe des Osterhases ist.』(復活祭の卵に色付けするのはオースターハーゼ(復活祭のウサギ)の仕事であるにも関わらず、私達が塗る。)
え、あのチョコレートのウサギって卵に色を塗る係だったの???(混乱)……という訳で、今年のイースターは積極的に関わってみることにしました。

まずはイースターの準備から。
友人と一緒に、卵の色塗りとOsterhase(オースターハーゼ。ブリオッシュのような甘味のあるパン)作り。卵は茹でて、復活祭の卵専用の食べても害のない着色料で色付けしました。
Osterhase und Ostereier家族や親戚などで集まるイースターには、Osterfrühstück(オースターフリューシュトュック:復活祭の朝食)を皆で食べるのが習わしだそうで、この朝食にこれらのパンや卵も並びます。

イースター前日、近所で行われた Osterfeuer(オースターフォイアー:復活祭の火)を見物しに行きました。
会場に着くと、既に近隣からの老若男女がたくさん集まっていました。高く積み上げられた木の枝を目の前にして、会場で売られていた Bratwurst(ブラットヴルスト:焼きソーセージ)やビールを片手に、着火を待っています。
空がほぼ完全に暗くなった20時過ぎ、二人組のおじさんがガスバーナーのようなもので着火。近くに立木が多くあるのもお構いなしに、メラメラと燃え上がるまで着火し続けます。

Osterfeuer
この大きなたき火はキリスト復活の象徴であり、また冬を追い払って春を呼ぶという意味があるそうです。何だかご利益がありそうな気分で帰宅しました。

Kircheさて、イースター当日。
友人がイースターに Posaunenchor(ポザウネンコーア:一般の人々で構成される教会所属のブラスバンド)の一員として教会で演奏するというので、一緒に行くことにしました。
友人と待ち合わせたのは、朝の5時すぎ。イースターの礼拝は特別なもので、ろうそくの火でキリストの復活を象徴するためか、まだ暗いうちから始まります。Göttingen(ゲッティンゲン)から郊外へ車で20分ほど走り、小さな村の教会に到着しました。
この日からサマータイムが始まりました(時計の針を1時間早める)が、前日と同じ時刻だとすると、まだ朝の4時半頃。それでも楽団のメンバーは次々と教会に集まり、準備に取りかかります。

Ostern
 Ostern6時頃、突然教会の照明が全て消され、真っ暗になりました。礼拝の始まりです。
牧師が祈りを唱え始め、灯りの点された大きなろうそくを持って祭壇へ向かいます。そのろうそくから、祭壇のろうそくと予め参列者に配られていたろうそくに火が移されました。参列者間で灯火のリレーが行われ、やがて教会はろうそくの灯りで満たされました。
牧師の話を聞いたり、楽団の伴奏でイースターにまつわる賛美歌を歌ったりしているうちに、気がつくと窓の外は明るくなっていました。7時半頃礼拝は終了。

Osterfrühstückその後、教会の敷地内にある別の建物で復活祭の朝食をいただきました。
供されたのは、通常の朝食に加えてウサギの飾り付きゆで卵や Osterzopf(オースターツォプフ)と呼ばれるねじりパンなどでした。写真左端の二人は、卵をぶつけ合って殻が割れなかったほうが勝ち、という復活祭の朝食ならではの遊びをしています。

別の友人は、復活祭の朝食には魚やじゃがいも、アスパラガスなども食べると言っていましたが、ついでにオースターハーゼ(復活祭のウサギ)についても聞いてみました。
彼女の話によると、子ども達にとってオースターハーゼは、言ってみればクリスマスにおけるサンタクロースのような存在で、ウサギが自ら色を塗った卵を運んで来て庭に隠す、ということになっているそうです。イースターには子ども達がその卵を探します。そんなことから、ウサギや卵がイースターのチョコレートのモチーフになっているのでしょう。
「いくつまでオースターハーゼの存在を信じていた?」と尋ねたところ「結構大きくなるまで信じていたかも。」と、ちょっと恥ずかし気に彼女は微笑みました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>