Düsseldorf(デュッセルドルフ)といえば、Altbier(アルトビア:アルトビール。上面発酵で茶褐色)の産地です。
『Alt』はドイツ語で『古い』という意味ですが、アルトビールが生まれたのは1800年代で、創業数百年という醸造所が軒を連ねるドイツではそれほど古くはありません。ではなぜ『古い』のか?
アルトビールは、醸造過程で冷やす必要のないビール。しかしアルトビールが造られ始めた19世紀は冷却装置が発明された年代でもあって、醸造過程で冷やさなければならないビールも造られるようになりました。
ちょうどそんなタイミングに混在したビールを、酒屋などでは『Das alte Bier(古いビール=以前の造り方であるアルトビール)』と『Das neue Bier(新しいビール)』と呼び分けていたそうです(ウィキペディアより)。恐らくそこから来たのでしょう。
デュッセルドルフのアルトビールの特徴は、木樽から注がれる(右上写真は、ウェイターの皆さんが次に開栓する木樽をカウンターに上げているところ)ことと、250mlのグラスに注がれ(一杯1.9~2ユーロ)、もういいと言わない限り次の一杯が運ばれ続けることでしょう。そしてフレッシュで美味しい! アルトビールは、デュッセルドルフを訪れて飲むことを強くお勧めします。
また、どのビアハウスでも長いエプロンを掛けた熟練した男性が給仕してくれ、味わいのある雰囲気も楽しめます。
デュッセルドルフにある四つの老舗の中で、個人的に最も美味しいと感じたのは Schumacher(シューマッハー。左上と右写真)。旧市街にも店舗がありますが、デュッセルドルフ中央駅方面の本店へ行きました。
こちらのビールは他のアルトビールと同じく褐色ですが、麦芽の焙煎された風味があまり強く感じられないせいか、すっきりと飲めます。
レギュラービール以外のもうひとつの隠し球『1838er』(右写真・奥)がまた美味しい。創業175年周年の2013年から醸造を開始したこのビールは、アルトビールファンには怒られそうなほどホップの効いた一杯。「まあ試してみて」と言いながらウェイターが給仕してくれたので、失敗したか!?と思ったのですが、とんでもない。通常のドイツビールのようにずっと飲み続けられるタイプとは異なりますが、ペールエールなどが好きな方にはぜひ試してもらいたいビールでした。
次に訪れた Uerige(ウーリゲ)は昔ながらのビアハウスの造りで、少しずつ趣向の違う部屋に分かれています。こちらのアルトビールは、シューマッハーと比べると焙煎風味が若干強い印象。
ビールと一緒に写っているのは、Blutwurst(ブルートヴルスト)。この地方の名物のひとつらしく、あちこちのメニューで見掛けましたが、アルトビールにも合います。
Schlüssel(シュリュッセル)は、ドイツらしくはあるけれどちょっと洗練された食堂といった感じの造り。シュリュッセルはドイツ語で『鍵』のことで、お店のマークも鍵の形をしています。
こちらのビールはウーリゲよりもさらにほんの少しだけ焙煎風味が強い気がしました。
もうひとつの老舗、Füchschen(フュックスヒェン)。店内の雰囲気は典型的なビアハウスですが、オリジナルグッズなども展示されていたりして、若い客層も意識しているようです。
こちらのビールは燻製のような風味がほんのり香って、他のビールとは少し異なる印象でした。
最後にデュッセルドルフのニューカマー、Kürzer(クォーツァー)へ。
2010年にオープンしたこちらは、他のビアハウスとは全く異なり、唯一伝統とは切り離された造りです。出されるグラスも異なり、200mlで一杯1.7ユーロ。老舗のように木樽も使用しておらず、カウンターのすぐ近くに設置された小型タンクに入れて冷蔵しています。
こちらのアルトビールも美味しかったのですが、ビール自体には老舗と違うところが思った程ないのが、よいのか悪いのか。判断の難しいところです。
今回、たまたまイースター休暇にデュッセルドルフを訪れたので、ほとんどの商店は休業。そんな状況の中、訪問したビアハウスは全店通常営業しており、また観光客が少なかったせいかどこもスムーズに入ることができました。
アルトビールを飲むためにデュッセルドルフを訪れるなら、この時期をお勧めします。
アルトビール、おいしそうですね~!
イースターでも通常営業とは、さすがです。
>アルトビールを飲むためにデュッセルドルフを訪れるなら、この時期をお勧めします。
↑なるほど!と、感心するやら、可笑しいやら。思わず笑ってしまいました。
ビール好きにはたまりませんね。
Accoさん、最後の一文は大真面目に書いたアドバイスですから(笑)
ドイツの醸造所で飲むビールはだいたいどれも美味しいのですが、デュッセルドルフも同じく、どこのビアハウスで飲んだアルトビールも美味しかったですよ!
いや~、あまりにもよくできたキャッチコピーで、このまま旅行ガイドに使われるんじゃないかと
感心したんですよ~ そしてすぐにそれに釣られそうな自分に笑ってしまいまして(笑)。
老舗も新しいところもいろいろ楽しめて、ほんといいですね!
はい、はっきり言って、デュッセルドルフはビールを飲むためだけに、観光客の少ない日を狙って行くべき街です!笑