Bier 行脚:Einbeck 編

Göttingen(ゲッティンゲン)を含む Niedersachsen(ニーダーザクセン)州が誇るビールと言えば、Einbeck(アインベック)にある Einbecker(アインベッカー)かもしれません。
アインベックは、ゲッティンゲンから電車とバスを乗り継いで30分ほど北上したところにある街。旧市街にはたくさんの木組みの家が建っており、可愛らしい雰囲気です。

Einbeck
Einbecker年間約60万5000ヘクトリットル生産されるアインベッカーは、ゲッティンゲンではスーパーでも売られていますが、今回は工場見学に参加してみました。

14世紀のアインベックでは、ビールを造って売ることが既に街の重要な産業になっていたそうです。街には700人もの醸造者がおり、ドイツ国内だけでなくアムステルダムやエストニアのタリンへも輸出していたというのですから、大したもんです。残っている最古のビール販売の請求書は、1378年のもの。
その後1794年に全ての醸造所がアインベック市営醸造所として統合され、後に株式会社となり現在に至ります。

統合される前の1612年、アインベックのビール醸造者がミュンヘンへ招致され、『Ainpöckische Bier』(アインペキッシェ・ビール:『Ainpöckisch』はバイエルンで使われていた古語のようで、意味はわかりません)を醸造しました。

Einbeck
「現在はドイツ全土にビールを運ぼうと思ったら24時間、ヨーロッパ全土なら48時間で済みますが、昔はミュンヘンからアインベックまでビールを運ぶのに数週間かかりました。そこでアインベックでもアインペキッシェ・ビールが造られるようになり、元々の名前が転じて『Bock Bier(ボックビール)』と呼ばれるようなりました。つまり、ここアインベックで初めてボックビールが誕生したのです。」とはガイドさんの説明。なるほど、工場の広い壁にも堂々と『Ohne Einbeck gäb’s kein Bock-Bier』(アインベック無くしてボックビール無し)と掲げられています。

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Einbecker1999年までゲッティンゲンでも『Göttinger(ゲッティンガー)』というビールが造られていました。しかしアインベッカーに買収され、現在はここで造られています。何となく悔しい気持ちでいましたが、これだけ歴史のある醸造所に吸収されるのなら仕方ないかもしれません。
その他ゲッティンゲンの南にあるKassel(カッセル)や北にあるNörten-Hardenberg(ノーテンハーテンベルク)の醸造所で造られていたビールも、今はアインベッカーで造られています。

Einbeckerさて、煮沸釜や瓶を洗浄してビールを詰める所など、いわゆるビール工場らしい工程を見て廻りましたが、どの部門にも作業員は一人か二人しかいません。全てオートメーションで人手を必要とはしないのでしょう。
一瞬醸造所とは思えないような煮沸釜のコントロール室(上から四番目の写真)や、できたてのケース入りビールがロボットによって次々ときれいに積まれて行く様子は眼を引きましたが、工場自体にはそれ程目新しいところはなかったように思います。

Einbecker見学が終わったら、お楽しみの『試飲』という名の飲み会タイム。『Ur-Bock-Keller』へ吸い込まれて行きます。
ネット上で見学の予約をした際、所要時間が三時間と記されていたため「そんなに見学するものがあるのか?」と思っていたのですが、何のことはない、半分はこの『試飲』の時間でした(笑)。
工場見学は商品の宣伝にもなるのに8ユーロの見学料は高めだ、とも思っていたのですが、ビール代も含まれていると思えば何となく納得がいきます。

見学コースのガイドさんがウエイトレスに早変わりし、飲みたいビールを尋ねてくれます。Brauherren Pils(ブラウヘアレン・ピルス)、Dunkel(デュンケル)、Kellerbier(ケラービア)Ur-Bock Hell(ウアボック・ヘル)の四種類が樽から注がれ、他のビールも瓶で飲むことができました。

Einbecker
工場で飲むできたてのビールは、格別に美味しい! 一緒に提供されたおつまみ(下写真。ハム、チーズ、ペーストなどの付いたパン)も美味しくてビールによく合う! 流石わかってる!

Einbecker実は、普段はあまりアインベッカーは飲んでいません。アインベッカーの生のケラービールを出しているレストランでだけは美味しく飲みますが、家飲み用に買うビールとしては一度もアインベッカーを買ったことはありません、、
でも今後は買って飲んでみようかな、という気にちょっとさせられたことを考えると、この工場見学の宣伝効果は抜群だと言えるでしょう。やっぱり8ユーロは高かったか?!

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