南端 Malmöから北端 Kirunaへ:鉱山編

Kiruna(キルナ)はオーロラともうひとつ、鉄が採れることで有名です。
駅を挟んで街とは反対側に、鉱山とモクモクと煙が登る煙突が見えます。オーロラや、元々ラップランドに住んでいたサーミ族とは結びつかないような光景で、私はちょっと不気味に感じました。

Kiruna  town
事前に仕入れた情報では、鉄の採掘で地下を掘りすぎて街が陥没する恐れがあるため、キルナの街ごと移転させるという話。そんなバカな!?

その信じられない事態を起こしている鉱山を見学するバスツアーがあるという。このツアーがめちゃくちゃ高い。バスに乗ってビジターセンターへ行くだけで一人295クローナ(約4000円)ですよ! キルナくんだKiruna tourist officeりまで何度も来る人はいないだろうから、と足下を見ているに違いない。
そうだとわかっていても「見とかなきゃ」と思ってしまうのが人情というもの、、早速ツーリストインフォメーション(写真中央の建物)へ行って申し込んでしまいました(苦笑)

ツアー当日、ツーリストインフォメーション脇に着けられたバスに乗り込むと、まんまと私と同じように考えた観光客でいっぱい。ドイツ人の方が多かったようです。
鉄鉱石を掘っているのは、国営の鉱山会社・LKAB。その社員らしき女性が同乗し、英語でガイドしてくれます。鉱山まではバスで10分ほど。

出発して少しすると、ガイドが「社名の『LK』は2つの鉱山の名前、LuossavaaraとKiirunavaaraからとられたものです。(『AB』は株式会社という意味)」と話し始めました。
そのとき私は、ちょっと違和感を感じました。2つとも以前は先住民であるサーミ族の生活圏で、今は元の美しい姿なんかまるっきりなくなってしまった山です。私は何だか、LKABがサーミ族に対してお茶を濁しただけのように感じたのですが…本当のところはどうなんでしょう?

Kiruna LKABLKAB敷地内に入り、国連ビルを模したという社屋の横を通り過ぎてバスはそのまま鉱山の中へ。ほとんど真っ暗な坂道をどんどん下り、地下540mまで来たところでビジターセンターに到着しました。
そこでヘルメットを装着し、説明を聞きながら展示物を見学。ビジターセンター自体はよくできていて、ひととおり鉱山の様子を知ることはできます。ただ、何か『上っ面だけ感』が拭えない。
よく考えると、ガイドにここが地下540mだと言われたから「そうなんだ」と思っただけで、それ以上の『鉱山に来た感』を味わえるものが何もなかったからなんですね。展示物だって、別に地下540mで見なくてもいいんじゃない?というようなものがほとんどだったし、バスで通ってきた坂道だって暗くて何だかわからなかったし。Kiruna LKAB

見学者が「ここは元々サーミ族の土地なんですよね?(採掘を始めたときに)サーミ族の反対はなかったんですか?」と質問すると、ガイドは「そういうことは一切ありません。それに土地の所有権をサーミ族が持っていたわけでもありません」とだけ言い、サクッと終わらせてしまいました。この様子を見て、私の不信感はますますつのるばかり。。

LKABは鉄鉱石を採取するために斜めに穴を掘っていて、今では地下1000m以上にまで達しているんだそうです。
事前に私が聞いていた話は本当で、このまま掘り続けると斜めの穴は駅のこちら側にある鉱山から駅を超えて街の下まで達することになり、街が陥没する恐れがあるから移転、ということのようです(この地図で左側に見えるのが鉱山、Aがキルナの街)。建てられてから100年経った木造の教会・Kiruna Kyrka(キルナ教会)を含めて全て、今の場所から少し北東側に移転することになるらしい。

Kiruna LKAB
「街を移転しても、何年か経ったらまたそこまで穴が到達するかもしれない。そうしたらまた移転するんですか?」と見学者が質問すると「そうなるかもしれませんが…今回の移転先はキルナ市が決めた場所なので、LKABとしてはそれに従うだけです」などとガイドは答えていました。

どこまで掘るんだろ? マグマが出てくるまで??
そりゃいいですよ、国営企業であるLKABが儲かれば国も豊かになるし、サーミ族の皆さんだって文化を守りながらもある程度便利な生活を送れたほうがいいでしょう。地元の方も仕事にありつけて嬉しいかもしれない。
でもやり過ぎればどこかで破綻はくると思うし、、私も同じ人間ではあるけれど、何より人の欲望の限りなさに薄ら寒くなる思いがしました。

 

南端 Malmöから北端 Kirunaへ:鉱山編」への2件のフィードバック

    1. masblo 投稿作成者

      こはるさん、どうもありがとうございます。。こんなコメントをいただけて、私もとっても嬉しいです。。!

      返信

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