『Smörgåsbord』(スモーガスボード)というものがスウェーデンにあるのをご存知の方は多いと思います。
でもそれが料理名なのか、いわゆる『バイキング』のことなのか、私にはよくわかっていませんでした。マルメへ来てからも、スモーガスボードを売りにしているレストランを見掛けないので試すこともできず、わからずじまい……
何人かのスウェーデン人に「スモーガスボードって何?」と聞いてみましたが、「Smörgås はサンドウィッチみたいなもののことで、Bord はテーブルのことだけど、何でそんな名前なのかわからない」と言われたり「ああ、Smörgåstårta(スモーガストルタ)っていうのもあるよね」(←新たな謎が増えただけ)などと言われた挙げ句、何人目かでやっと「それにはまず歴史的な背景を説明しなきゃね。スウェーデン人でも知らない人が多いんだけど」とまともな答えを聞くことができました。
彼女の話によると、昔のスウェーデンでは寒い中遠方から来た客人を迎えるときに、家に着いたらまず暖をとって疲れを癒してもらうため、サイドテーブルにすぐに食べられるパンやチーズ、魚などを並べておいて、メインの食事が始まる前に皆でつまみながら談笑したんだそうです。
「言ってみれば、前菜みたいなものだったのね。それがスモーガスボードのはじまり。」
さらに調べると、1912年のストックホルムオリンピックの頃から、スウェーデンのレストランではスモーガスボードを前菜ではなくメイン料理として提供することになったとか。それで余計何だかよくわからないことになっちゃったのかもしれません(汗)
要するに料理の内容まで決まっているわけではなく(もちろん、ニシンの酢漬けやサーモンなどといったスウェーデン料理が並ぶことが前提だと思いますが。レシピの一例はこちらに載っています)、サイドテーブルに料理を並べておいて自由に取って食べる形式が『スモーガスボード』だと言えそうです。
ちなみにスモーガスボードと同じ形式のものは北欧諸国どこにでもあるのですが、元はスウェーデンから始まったもののようです。
ところで、新たな謎となった『Smörgastårta』(スモーガストルタ)の正体は、きれいに飾られた巨大なサンドウィッチでした。見た目のインパクトからか、パーティーなどでの定番料理のようです。
「7、8人分位までなら自分で作れるけど、今日みたいに14、5人だとねえ、お店に頼まないと。」
この日はスウェーデン人である知人のバースデーパーティー。お店に頼んだというシーフードのスモーガストルタをいただきましたが、肉系とかベジタリアン向けなど、自由に注文できるそうです。
でも何で『tårta』(トルタ=ケーキ)なんでしょう??
「さあねえ、パンの間にマヨネーズなんかを挟んで重ねているのがケーキみたいだからかな?」
まあ確かにそのとおりですよね。
味はサンドウィッチとほぼ同じと言ってよいでしょう。美味しかったですよ。ただ巨大過ぎて、食べ切る前に正直ちょっと飽きちゃうかもしれない、、そんな一品でした。