マルメは今、盛り上がっています。それは、ヨーロッパ各国が参加する毎年恒例の音楽コンテスト・Eurovision の開催地が、今年はマルメだから。5月14日と16日に準決勝、18日に決勝戦が行われる予定で、写真のマルメ中央駅を初めとして街中には『We are one』の合い言葉と蝶々のフェイスペイントのポスターが掲げられています。
このコンテストは1956年に初めて開催されたという、歴史ある音楽祭です。ちなみに1974年の大会では、スウェーデン代表として出場したABBAが『Waterloo』を歌い優勝したのだそう。
残念ながら Eurovision のライブを聴きに行く予定はありませんが、音楽には興味のある私。
Malmö folk が主催するライブがあるというので、まだ雪の残っていた3月下旬に行ってみました。このライブはスウェーデン民族音楽(=Folkmusik フォークミュージック)を堪能できる毎月恒例のイベント。場所はマルメの Folkets park。
実はこの日、日本人が スウェーデン民族楽器・Nyckelharpa(ニッケルハルパ。こちらの記事をご参照ください)を演奏するという話を耳にしていたのです。
デビューを飾ったのは山口紫洋(ショウ)さん。日本の楽器店で管楽器の修理をする仕事に携わっていた頃、ニッケルハルパの存在を知ったのだそう。その後、本場スウェーデンでニッケルハルパについて学ぶために長期的に生活することを考え、事前に観光でスウェーデンへ訪れた際に仕事のあたりまでつけて帰国したというのだから驚きます。
結果スウェーデンの楽器店・Windcorp のマルメ支店への就職が決まり、ちょうど3年前よりスウェーデンでの生活を開始。現在はニッケルハルパの製作と演奏を習得しようと日々励まれています。
ニッケルハルパの演奏のほうは習い始めて1年半経つそうですが、この日は師匠である Ida Eriksson さんとその弟さん・Emil Eriksson さん(バスクラリネット奏者)とトリオでの初舞台でした。
会場へ入ると円形のフロアになっていて、音楽に合わせてダンスを踊れるようになっています。あたりを見回すと、どうやら生粋のスウェーデン人らしき老若男女がほとんどの様子。移民の多いマルメの街中とは全く違い、この限られた空間はスウェーデンらしい雰囲気で満たされていました。
この日のメインゲストのライブが終わり、その後何組かのミュージシャンによる演奏が続きました。音楽に合わせて会場に集まっていた皆さんがフォークダンスを踊っています。もちろんいわゆる日本の『フォークダンス』ではなく、スウェーデンの民族ダンスです。
見ていると踊り慣れた方の多いこと。音楽のタイプによってステップや踊りのパターンが違うのもきちんと心得ていて、見ていて気持ちよい程。私も見よう見まねでごく簡単なステップだけ挑戦してみましたが、私のような下手っぴが混ざっていてももちろん文句など言われないし、ちょっと試しただけでも楽しくなってきます。
夜も更けて来た頃、ついに注目のトリオが舞台に登場!
インプロヴァイゼーション(即興)も好きというIdaさんが中心となって演奏されたフォークミュージックは、現代音楽風のスパイスが効いたアレンジでカッコいい! 演奏に合わせて皆さんも気分よく踊っています。
そんな中、何曲目かにふと流れてきたのは『浜辺の歌』ニッケルハルパ版。日本人であるショウさんのために、Idaさんが選んだ一曲です。
日本人が弾くスウェーデン民族楽器。その楽器が奏でる和製ワルツのリズムに合わせて、スウェーデン人の皆さんが楽しげに踊っている。。とても不思議な光景でした。
この Malmö folk の月例ライブ、ちょっとした出会いの場にもなっているようで、ダンスの上手な人はモテるというウワサも聞きました。でも踊れなかったとしても大丈夫。ライブ前の19時に会場へ行けば、主催者がダンスのレクチャーをしてくれるので心配ありません。
次のライブは5月17日(金)20時〜。スウェーデンの民族音楽とダンスにどっぷり浸かることができます。もしかしたら、ショウさんの活躍も目の当たりにできるかもしれませんよ。
masbloさん、こんばんは。ここのところ忙しくしていたので、久しぶりにゆっくり読ませてもらっています。
民族音楽も大好きな私ですが、地元の方が生演奏にあわせて楽しく踊っているなんて、本当にステキですね。
どんなライブなのか、飛んで行きたいですねぇ。
「桜祭り」の時の阿波踊りもそうですが、みんなで踊ったり、演奏したり、一番平和だなーって感じます。
本当にそのとおりで、音楽ってそれだけで誰でも一緒に楽しめてよいものですよね。
Malmö folkでは、演奏者は踊りに来ている皆さんが踊りやすいようにペースを調整しながらも楽しんで演奏し、踊り手は民族音楽に合わせて踊れるのを楽しみながらも一曲終わるごとに演奏者に拍手を送ったりして、双方が尊重し合いながら心から楽しんでいる様子でした。
全然敷居も高くないので、marikoさんのような方には機会があればぜひ覗いていただきたい場所です。