言葉のはなし

スウェーデン語は、とにかく発音が難しい(こちらの記事もご参照ください)。単語を口頭で教えてもらっても、どういう綴りかわからないから頭に入ってきません。
Malmö centralstation例えばスプーンと小皿は「シュフェイドとアフェット」と聞こえたので、てっきり『shfade』と『affet』に近い綴りかと思いきや、正解は『sked』と『assiett』。写真の電光掲示板に表示されている駅名『Växjö』は「バクフョー」というような、カタカナで表記しづらい発音です。
音が微妙な上に綴りも英語の法則とは必ずしも一緒ではないので、単語を聞いてもピンと来ないまま記憶の彼方に飛んでいってしまうことがほとんど。

そんな私には聞いても判断ができないのですが、スウェーデンにも日本と同様に方言があるそうです。
マルメを含むSkåne(スコーネ)県の方言の特徴としてよく聞くのは、喉の奥を鳴らすようにして『R』(Rだけに限らず伸ばす音、ということかもしれません)の発音をするということ。ちょっとフランス語の『R』に近いような発音です。
逆にスウェーデンの北のほうへ行くとこの音は、舌を震わせて『ルルルァ…』と言うような発音になるんだそうです。

スウェーデンの南北だけでなく、都市によっても方言があるようです。
ここマルメにも方言があるんだそうで、スウェーデン人にマルメとストックホルムの方言の違いを発音してもらいましたが、私にはその差はちっともわかりませんでした(苦笑)
Crosswordクロスワードパズルでも、例えばストックホルムの俗語だけで埋めるものなどがあるそうです。
また、マルメ出身者がストックホルムの飲食店へ入ると、注文するときにわざと「え?」と聞き返されたりするという話も聞きました。その話をしてくれたのはスウェーデン人男性でしたが「でも、マルメ訛りが逆に『カワイイ』と思われたりするから、僕は別に嫌じゃないんだけど(笑)」なんて言っていましたけどね(笑)

難しいのは言葉そのものだけではありません。スウェーデン人との会話でドキッとさせられることがあります。
例えば「〜でいいんですよね?」とこちらが確認したのに対して「ヒッ!」と喉の奥を鳴らすような音……まさに日本人が驚いて「ハッ!」と声にならない声を出すのとそっくりな音で返されることがよくあるのです。
初めてその対応をされたときは「え、何かまずいこと言っちゃったかな?」と随分と気になりました。「それとも彼女の癖かな?」などと思いながらやり過ごしていたところ、スウェーデンの北端・Kiruna(キルナ)へ行ったときに出会ったおじさんが、会話の中で突然教えてくれました。
「スウェーデン人が『ヒュッ』と息を吸い込むような音を出すことがあるでしょう? あれはね、キルナ発祥なんだよ、今はどこでもやるようになっちゃったけどね。『はい』とか『そのとおりです』っていう意味だよ。」

国が変われば、発する音の意味まで変わるものなんですね。
スウェーデンへ来て現地の方との会話中に「ハッ!」とされても、それは恐らく同意の意味ですのでくれぐれも御安心を。

 

言葉のはなし」への2件のフィードバック

  1. m’amour

    言葉は難しいけど面白いですね。スウェーデン語の発音も難しそうですが、以前旅の途中で逢ったオランダ人に聞いたオランダ語もすごく難しそうでした(江戸時代の人は、よくもまあ「ハルマ和解」なんか作ったり「解体新書」など訳したものです)。スウェーデン語もそのようですが、綴りと発音に規則性のない言葉はホント困ります。たとえば英語のcomb,tomb,bombなんて、同じ綴りなのに発音が違うでしょう。その点、フランス語やイタリア語はよろしいな。見たまんま。ただフランス語の「R」の発音は難しいですけどね。フランスを旅行中、merciの「R」をすごくきれいに発音する人がいたりすると、真似できんなあと思いました。ストックホルムとマルメで言葉が違うと、人口の多いストックホルム言葉が標準語で、マルメ言葉は方言になりますでしょう。日本も同じ。世界語では、英語をしゃべるやつらがイバってるもんね。これも以前フランス国境から一駅のirunで途中下車してホテルへ入ったら、レセプションの女性が話しかけてきて(こんなところへ来る日本人が珍しいので)「このあたりはバスク語といっても村ごとに言葉が違うの」と言っていました。言葉については興味が尽きませんね。

    返信
    1. masblo 投稿作成者

      オランダ語はきちんと聞いたことがありませんが、難しいんでしょうね。
      スウェーデン語も難しいと思っていますが、それは英語を基準に考えてしまっているからそう感じるだけなのかもしれません。スウェーデン語の発音にも規則性はあるけれど、最も耳慣れている英語の発音の規則に当てはまらないというだけなんだと思います。
      ……ということは、私も既にm’amourさんも書かれているような『多数派=基準』の法則に則ってしまっているということですね。いけませんねー(笑)
      スウェーデンの方々は英語がとても上手ですが、決して迎合しているわけではなく、英語をツールとして使っているという感じがします。私もそういう風になれたらいいなと思っています。

      返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>