Göttingen（ゲッティンゲン）へ来てから間もなく通い始めたドイツ語学校で、初級クラスの教科書に『余暇』がテーマの課がありました。
その課では「あなたの趣味は何ですか？」「私の趣味はビールです。」などと繰り返して会話の練習をしたものですが、自分の趣味を答える例として、予めいくつかの単語が挙げられていました。

lesen（レーゼン：読書）、schwimmen（シュヴィメン：水泳）、tanzen（タンツェン：ダンス）。ありますよね、こういう趣味は。
でも、次に挙げられていたのは『grillen（グリレン：バーベキュー）』。これは趣味なのか？
ドイツではたぶん、趣味なのでしょう。なにしろ『Wintergrillen』（ヴィンターグリレン：冬のバーベキュー）なんていう料理本まであるくらいですから。ドイツの寒い冬に、なにもそこまでしなくても、と思いますが。

バーベキューが趣味の人もそうじゃない人も、ゲッティンゲンでは皆さん既に焼き始めています。

日本人にはまだ無理だけれどドイツ人は半袖でいける気候になり、20時過ぎまで明るい今日この頃。先日近所の公園へ行ってみましたが、いくつかのグループがバーベキューセットを持ち込んで、ビール片手に焼いていました。

でもドイツ人にとってバーベキューよりも上位に来る趣味は、実は『散歩』（ドイツ語でspazierengehen（シュパチエレンゲーエン））ではないでしょうか。趣味というよりも、もしかしたら習慣のひとつと言えるのかもしれません。私は密かに、スウェーデン人にとってのFika（フィーカ：お茶の時間。フィーカについてはこちらの記事をご覧ください）がドイツ人にとっての散歩じゃないか、と考えています。

ゲッティンゲンではたとえ季節が冬であっても、天気がよくなった途端にどこからともなく人や犬が湧いて来て、森でも畑の脇道でも公園でも、2人以上で連れ立って歩いています。写真は2月の晴れ間に撮ったものですが、遠くに見える小さな棒状のものも人です。
時には変則散歩として、ジョギング、ローラースケート、自転車に乗りながら、などという人もいます。
これらの散歩のポイントは、誰かと一緒におしゃべりをしながら時間を過ごす、ということ。心身共に健康にしてくれそうで、とても良い習慣だと思います。こんな風に歩きながら話せば、新しいアイディアも浮かんでくるかもしれません。

さて、ドイツ語初級クラスで『余暇』がテーマの課が終わったときに、復習テストがありました。設問の中には絵を見て単語を書かせるというものがあって、男性が散歩をしている様子も描かれていました。
ところが、spazierengehen なんていう長い単語などはなから覚える気もなくノーマークだった私は、当然答えられず、『s〜？』と書いてもちろん × をもらいました。
それからしばらく経ってドイツでの生活に慣れ始めた頃、あの問題は単に spazierengehen という単語を覚えるということよりも、『散歩』がドイツでの生活において欠かせないものなのだということを示していたんだなあ、と気付かされたのでした。