fika しよう

スウェーデン人にとってなくてはならない習慣、それは『fika』(フィーカ)。こちらに来た頃はそんな習慣があること自体知りませんでしたが、最近では fika は習慣というよりもほとんど文化だ、と確信しつつあります。Bulle
fika とは、甘いお菓子をお供にコーヒーや紅茶などを飲みながらおしゃべりすること。スウェーデンでは基本的に午前中と午後に1回ずつ fika する習慣があるらしく、皆さんその時間をとても楽しみにしているようです。

「“fika” こそスウェーデン語の中の best wordよ!」
「日本には fika がなくて、一体どうやって(仕事の合間などに)雑談するの?」
「質問があるなら fika の時間以外に来てください。」
「そんなに早く家に帰らなきゃならないなら fika する時間がないじゃないか、違う日に変えよう。」(次に会う予定を立てていた際の会話で)
……これは全部、スウェーデン人が言った言葉。どんなに fika を大切にしているかがわかりますよね?

fika にはいろんなお菓子が供されますが、その一例をご紹介しましょう。
右上写真の手前は Bulle(ブッレ)。Drömtårta日本でいうところの甘い菓子パンも fika に食べます。奥はチョコレートケーキ。

バタークリームが巻き込まれたロールケーキはDrömtårta(ドロムトルタ=Dream cake)。写真はチョコレート味のバタークリームが巻かれていますが、バター色そのままのクリームを巻くほうが定番のようです。

緑色のマジパンで包まれたケーキはPrinsesstårta(プリンセストルタ)。その名前の由来は、あるスウェーデン人によると「1930年代に出版された料理本で初めて『Prinsesstårta』として作り方が紹介されたのがきっかけ」なんだとか。

Prinsesstårta

大抵どんなケーキにも、砂糖を加えずにホイップした生クリームがたっぷりと添えられます。最初はやりすぎでしょ、と思いましたが、Ostkaka慣れると「生クリームがあったほうが美味しい!」と思えてくるから不思議です(右写真はチーズケーキ+生クリーム。一番下の写真はスウェーデンのお菓子、Semla(セムラ)。Semlaについてはこちらの記事をご参照ください)。

もうひとつ面白いと感じたのは、ケーキはフォークではなくて必ずスプーンで食べるということ。明らかにフォークのほうが食べやすいと思われるケーキでも、スプーンです。
スウェーデン人に理由を尋ねると「生クリームが食べやすいからじゃない?」「昔はフォークを使っていたみたいだけど…」「高級レストランに行くとケーキにはフォークが付くよ」などと言った挙げ句、結局みんな「わからない」。今のところ謎のままです。

fikaスウェーデンの皆さんは甘いものと同じ位、 fika につきものの『おしゃべり』も大好きなんじゃないかな、と私は感じています。たぶんそのせいだと思いますが、バスの中で突然話しかけられることも度々あります。

もしかしたら逆に、fika のある環境で暮らしているからこそ「何を話せばいいんだろ?」なんて余計なことを考えなくても、自然に会話を楽しめるようになるのかもしれませんね。
以前は日本にも fika に近い習慣がありませんでしたか? 私が幼かった頃、祖母を訪ねて近所の方がよく遊びに来て、お茶を飲みながら取り留めのないおしゃべりをしていたのを思い出します。私も一緒になっておやつをもらったりして。そんな状況が今もあるのでしょうか。

コミュニケーションが円滑な社会を築くには、誰かと一緒にただお茶とおしゃべりを楽しむ、というような何気ない時間が必要なのかな、なんてことも fika を通して感じました。まぁ、どちらかというと私は『飲みゅ二ケーション』(←すでに死語か?)のほうが得意ですが。

fika しよう」への6件のフィードバック

  1. こはる

    fika したいです。良い習慣ですね。どのケーキもおいしそう。
    日本のお茶も面倒な作法はあるけどコミュニケーションのひとつで本来は楽しい時間なんだと思います。ちなみにお抹茶を飲む直前に必ずお菓子を食べるのは、胃への刺激を抑えるためのようです。

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    1. masblo 投稿作成者

      「お抹茶の前にお菓子」の意味、初めて知りました! ひょっとしてfikaに食べる「ケーキに生クリーム」も、胃壁を守る意味があったりして……
      こちらでは(たぶんfikaで)コーヒーを飲み過ぎて胃を悪くした、という話を聞いたことがあります(笑)そうだとしても、良い習慣ですよね。飲み物はコーヒーじゃなくたっていいんですから。

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  2. m’amour

    とても興味深く読みました。スウェーデンの人たちの生き方がわかるような習慣ですね。それでちょっと思いついたのですが、ノーベル経済学賞のスティグリッツ氏の本の中に「社会主義の国」(こんなふうにカッコつきでね)スウェーデンと書いてあったのですよ。これ決して茶化していってるのではなく、政治経済制度のゆがみで極度に格差の広がっているアメリカと較べてスウェーデンは、というところですね。ユーロにも加盟せず、高負担高福祉の独自路線でうまくまわっている社会をこんな和みの習慣がささえているのかなあと・・・日本も大国なんか目指さず、中ぐらいでも人々が穏やかに暮らして行ける国をめざしてほしいなあと・・・。でも経済優先のセカセカ日本でこの習慣を根付かせるのはムリみたい。それこそ「おやつ奨励法」といった野暮な法律でも作らないとね。

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    1. masblo 投稿作成者

      適度なゆるさが必要ですよね。こちらから見ると、日本の人は皆忙し過ぎるように感じます…自分も以前はその中の一人だったんですけれど。日本は何につけてもやり過ぎちゃうんでしょうかね。求めるほうも求め過ぎるとか。
      日本にもよいところがたくさんあるとは思うのですが、そろそろ経済優先からちょっと方向転換してもらったほうが日本人がより豊かな(いろんな意味で)毎日を送れるような気がします。多くの日本人だってそれを望んでいると思うのですが。

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  3. Mater Chronus

    実は、WVJの事務所ボランティアに行くと3時にお茶の時間があるんです。
    最初は(@@)と思ったんですが、今では至福の時間になってます。
    昼食後に襲ってくる睡魔も、このお茶&お喋りタイムでどっかに飛んで行きます。

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    1. masblo 投稿作成者

      そうですよね、眠気覚ましにもいいですよ fika は。
      一息入れるのって、その後の効率を考えても必要ですね。

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