実は今年1月のおしまいから、スウェーデンの民族楽器であるNyckelharpa(ニッケルハルパ)の製作と演奏を習っています。教えてくださっているのは、以前こちらの記事にご登場いただいたJan-Erikさん。このときに演奏を聴かせていただいたことがご縁となったわけですが、はっきり言ってどこの馬の骨だかわからない私を快く受け入れてくださった大変奇特な方です。
現在まで週に2日程工房へ通い、本来はニッケルハルパを一台作るのに1〜2年かかるところを、Jan-Erickさんに手伝ってもらいながら半年程にギュッと詰めて製作しています。
Jan-Erikさんは、元VOLVOでモックアップを造っていた技術者。その後木工の教師として多くの学生にその楽しさを教えてこられた方です。
お父様は音楽関係の仕事に携わっていた方で、Jan-Erikさんも小さい頃からお父様にバイオリンを習っていたそうですが、外でサッカーがやりたくて仕方がなかったそうです。男の子というのは、誰でも同じようなものなのかもしれませんね。
ニッケルハルパを初めて製作したのは1973年で、知人が持っているのを見て興味がわき造ってみたそうです。製作歴はかれこれ40年! 造ったニッケルハルパの数は「数えてないからわからないな。でも、今年はこれ(工程の見本となるように、ご自身も私と一緒に一台作ってくださっている)が一台目だけどね」。
工房には実にいろいろな機械や道具が並んでいて、これまでの経歴を物語っています。そんな中で作業に没頭していると、中世の腕のよい職人である親方の下で働いている弟子の気分になってきます(笑)
親方はその経験から、フリーハンドできれいな線を引くとか目測で正確な幅を見極めるなんてことはお手の物。木と木をピッタリ合わせるなど細かい部分にこだわりを見せて、ニヤリとしながらひと言「これがVOLVO(の技術)だよ」。VOLVOへの愛情を時々覗かせます。
ニッケルハルパの製作は、Bandsågen(帯のこ盤)で木を切る作業から始まりました。
製作に入る前に私は自作の木のスプーンを見せただけだったので、Jan-Erikさんは私にどの程度木工の経験があるかなんてわからなかったと思います。むしろ、大した経験がないとわかっていたはず。それなのに、まずお手本としてご自身で木を切ってみせてくれた後で「じゃあ、わかったね。指を切らないように気をつけてね。」とだけ言って、さっさと自分の作業に戻ってしまいました。
鋭いのこぎりの刃がブンブン動いている機械ですから、慣れていないと指を切断しかねません。そこを敢えて私に任せて自由に作業させてくれたことが嬉しかったのをよく覚えています。
製作後には、必ず fika(fikaについてはこちらの記事をご参照ください)。しかもここでもJan-Erikさんお手製のスウィーツが頻繁に登場します。器用で何でもできるだけでなく、多趣味で人付き合いも多く忙しいはずなのにそれをちっとも感じさせないスゴイ方です。
その後一緒にニッケルハルパをひとしきり演奏するのがおきまりのパターン。このパターンのおかげで、製作と演奏の相乗効果が生まれてニッケルハルパへの理解がより深まったような気がします。
今回の記事を書かせていただくにあたって、Jan-Erikさんに「載せて欲しくない写真とか、秘密にしておきたい技術などありますか?」と尋ねると「そんなものないよ。僕はただ単に人の手助けをしたいだけだから」とのお言葉。なんてよい方なんでしょう!
マルメに来て以来、たくさんのスウェーデンの方々に親切にしていただいていますが、中でもJan-Erikさんは感謝してもしきれない存在。帰国まで一ヶ月足らずとなりましたが、なんとか製作を完了させることを目標にしながら、できる限り一緒に演奏させていただきたいと思っています。
すごいすごい!楽しみ!!
あと少しの時間で、どうなることやら。お楽しみに!
人との出逢い…素晴らしく濃密な時間に乾杯(^_^)/□☆□\(^_^)
人との関わりは、やっぱりおもしろいですよね!
そこに共通の作業(趣味)が入ると、なおのこと濃い〜関わりになります。
せっかくこんな素晴らしい親方とめぐり逢えたのですから、急いで日本へ帰る手はありません。弟子としてじっくり10年間は腰を据えて修行に励み、将来は立派なニッケルハルパ職人になって日瑞文化のカケハシになりましょう。(⇦ヒトゴトだからなんでもいえる)
そうですねー(笑)
独り立ちするには10年は必要です!と移民局に掛け合ってみるとするか。